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副業が赤字のとき、給与から引かれた税金は戻る?(令和8年分)

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会社員の副業が赤字になったとき、給与から引かれた税金が戻るのは

事業所得と認められる場合だけ

雑所得の赤字は、給与と損益通算(赤字の所得を、ほかの所得の黒字から差し引くこと)できません(国税庁 No.1500・No.2250)

副業の取引を記録した帳簿書類を保存しておらず、収入が300万円以下なら、副業の所得は業務に係る雑所得になります(所得税基本通達35-2の注)。 事業所得になるかは、開業届を出したかどうかではなく、副業の規模・継続性などの実態で判断されます。事業所得と認められる場合は、赤字を給与所得から差し引けます。年収500万円・独身の会社員で、事業所得が30万円の赤字なら、 給与から引かれた所得税のうち約1.5万円が戻り、翌年度の住民税が3万円減る目安です(令和8年分)。
あなたの条件で計算する

副業の赤字は、給与と相殺できる?(損益通算できる場合・できない場合)

損益通算は、どの所得の赤字にもできるわけではありません。国税庁は、損益通算できるのは不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損失だけで、 給与所得・配当所得・一時所得・雑所得に損失が生じても、その損失は他の所得から差し引けないとしています(国税庁 No.2250、所得税法第69条)。 会社員の副業の赤字は、その所得が事業所得か雑所得かで、扱いが分かれます。

副業の赤字を、給与と相殺できるかの判定の流れ
副業の取引を記録した帳簿書類を保存しておらず、収入は300万円以下ですか?はい業務に係る雑所得。赤字は給与と相殺できず、給与から引かれた税金は戻らないいいえ副業の活動は、社会通念上事業と称する程度に至っていないと判断されますか?(帳簿書類を保存している場合を含む)はい雑所得。赤字は給与と相殺できず、給与から引かれた税金は戻らないいいえ事業所得と認められる場合。赤字を給与と相殺でき(損益通算)、確定申告で給与から引かれた所得税の一部が戻る
  1. 副業の取引を記録した帳簿書類を保存しておらず、収入は300万円以下ですか?「はい」なら、業務に係る雑所得です(所得税基本通達35-2の注)。赤字は、給与など他の所得と損益通算できません(国税庁 No.1500)。
  2. 帳簿書類の保存がなく収入が300万円を超える場合は、事業所得と認められる事実があるときを除き、業務に係る雑所得です(同じ注)。 帳簿書類を保存している場合を含め、事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定されます(同じ注)。 ここで「至っていない」と判断されれば、雑所得です。
  3. どちらにも当たらず、事業所得と認められる場合は、赤字を給与など他の所得と損益通算できます(国税庁 No.2250)。損益通算は、青色申告か白色申告かを問いません(所得税法第69条)。
どちらに当たるかは、副業の内容や規模、継続性など、実態に応じて判断されます。このページでは個別の判断はできません。迷うときは、税務署や税理士に相談してください。 雑所得と事業所得の違いを表にしたものは、副業の確定申告のやり方のページにあります。

開業届を出せば、副業は事業所得になる?

事業所得と認められるかどうかについて、令和4年に改正された所得税基本通達35-2の注は、「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」としています。 さらに、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は、収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除き、業務に係る雑所得に当たるとしています。

この注には、開業届(個人事業の開業届出書)を出したかどうかは出てきません。届出を出しただけで事業所得になる、とは書かれていません。 開業届を出しても、副業の実態が事業と言える程度でなければ、雑所得として扱われることがあります。

事業所得と認められる場合、いくら戻る?(本業の年収×赤字の額の早見表)

副業が事業所得と認められる場合は、事業所得の赤字(収入より経費が多かった額。収入10万円・経費40万円なら30万円の赤字)を給与所得から差し引いて、所得税を計算し直します。 そのぶん、給与から引かれた所得税の一部が確定申告で戻り、翌年度(令和9年度)の住民税も減ります。 戻る所得税は、確定申告(還付申告)で受け取ります。還付申告は、翌年1月1日から5年間提出できます(国税庁 No.2030)。

本業の年収500万円の場合

本業の年収500万円の会社員の、事業所得の赤字の額ごとに戻る税金(減る住民税は翌年度・年額)
赤字の額戻る所得税減る住民税合計赤字との割合
10万円5,105円10,000円15,105円15.1%
30万円15,315円30,000円45,315円15.1%
50万円25,525円50,000円75,525円15.1%
100万円51,050円100,000円151,050円15.1%
200万円90,358円(全額)200,000円290,358円14.5%

赤字が30万円のときに戻る税金は、所得税と住民税を合わせて45,315円で、赤字の15.1%です。 残りは、収入より多く使ったお金のままで、税金が戻っても赤字の全額を取り戻せるわけではありません。 このページは、赤字を作って税金を戻すことを勧めるものではありません。

本業の年収ごとの早見表

本業の年収が高いと、所得税率の高い段に当たるので、同じ赤字でも戻る所得税が増える傾向があります。住民税は、この表の範囲では赤字の額の10%(標準税率)が減ります。 年収のリンクから、その年収の手取りのページに移れます。

事業所得の赤字を給与と損益通算したときに、確定申告で戻る所得税(かっこ内の「全額」は、給与から引かれた所得税が全部戻る場合)
本業の年収赤字10万円赤字30万円赤字50万円赤字100万円
300万円5,105円15,315円25,525円27,056円(全額)
400万円5,105円15,315円25,525円51,050円
500万円5,105円15,315円25,525円51,050円
600万円10,210円30,630円49,518円75,043円
700万円20,420円49,008円107,205円158,255円
800万円20,420円61,260円102,100円197,053円
900万円20,420円61,260円112,310円214,410円
1000万円20,420円61,260円102,100円204,200円
事業所得の赤字を給与と損益通算したときに、翌年度の住民税(年額)が減る額
本業の年収赤字10万円赤字30万円赤字50万円赤字100万円
300万円10,000円30,000円50,000円100,000円
400万円10,000円30,000円50,000円100,000円
500万円10,000円30,000円50,000円100,000円
600万円10,000円30,000円50,000円100,000円
700万円10,000円30,000円50,000円100,000円
800万円10,000円30,000円50,000円100,000円
900万円10,000円30,000円50,000円100,000円
1000万円10,000円30,000円50,000円100,000円

ただし、表は年収の順に増えるとは限りません。赤字を差し引くと合計所得金額が下がり、基礎控除(所得税)が増える段(合計所得金額が489万円以下・655万円以下になるところ)をまたぐことがあり、 そのぶん戻る所得税も増えるからです。たとえば赤字50万円では、年収800万円(102,100円)より 年収700万円(107,205円)のほうが、戻る所得税が多くなっています。

表の数字は、本業の給与1か所(年末調整を受けている)の独身の会社員で、ほかの控除を使っていない場合の目安です。 この表のどの組み合わせでも、戻る税金(所得税と住民税の合計)は赤字の額より小さくなります。 自分の年収と、副業の売上・経費を入れた結果は、計算ツールで確かめられます。

給与から引かれた所得税が全部戻る赤字の額は?(それ以上は増えない)

確定申告で戻る所得税は、給与から引かれた所得税(年末調整のあとの源泉徴収税額)が上限です。所得税は0円より下がらないので、赤字が大きくなっても、それより多くは戻りません。 赤字を1万円ずつ増やして、所得税がはじめて0円になる(給与から引かれた所得税が全部戻る)赤字の額を、本業の年収ごとに探しました。

給与から引かれた所得税が全部戻る(所得税が0円になる)赤字の額(本業の年収ごと)
本業の年収給与から引かれた所得税(戻る上限)全部戻る赤字の額そのとき減る住民税(翌年度・年額)
300万円27,056円53万円53,000円
400万円57,176円112万円112,000円
500万円90,358円177万円177,000円
600万円147,534円242万円242,000円
700万円274,138円311万円311,000円
800万円427,288円386万円386,000円
900万円600,858円466万円466,000円
1000万円774,428円551万円551,000円

本業の年収500万円なら、赤字が177万円で、給与から引かれた所得税90,358円が全部戻ります。 赤字がそれより大きくなっても、戻る所得税は90,358円のまま増えません。 赤字の額が大きいということは、事業の収入より経費が177万円以上多かった、ということでもあります。

引ききれなかった赤字は、翌年以降に繰り越せる?(青色申告の純損失の繰越控除)

事業所得の赤字が大きく、給与所得などから差し引いてもなお引ききれない分を、純損失といいます。青色申告なら、純損失を翌年以後3年間にわたって繰り越し、各年の所得から差し引けます(国税庁 No.2070、所得税法第70条第1項)。 白色申告では、繰り越せる純損失は、変動所得の損失と被災事業用資産の損失に限られます(同条第2項)。

事業所得に赤字があるときの、青色申告と白色申告の違い
青色申告白色申告
その年の損益通算できる(所得税法第69条)できる(所得税法第69条)
引ききれない赤字(純損失)の繰越し翌年以後3年間、各年の所得から差し引ける(国税庁 No.2070、所得税法第70条第1項)変動所得の損失と被災事業用資産の損失だけ(所得税法第70条第2項)
繰越控除を受ける条件損失が生じた年に青色申告書で確定申告書を出し、その後も続けて確定申告書を出している(所得税法第70条第1項・第4項)損失が生じた年に確定申告書を出し、その後も続けて確定申告書を出している(所得税法第70条第2項・第4項)

繰越控除は、事業所得などの赤字(損益通算できる損失)が前提です。雑所得の赤字は、繰り越すこともできません(国税庁 No.2250)。 このサイトの計算には繰越控除が入っていないので、繰り越した結果の数字は出していません。

青色申告特別控除(10万円・55万円・65万円)は、不動産所得の金額と事業所得の金額の合計額(損益通算前の黒字の所得金額の合計額)が限度です。 いずれかの所得に損失が生じているときは、その損失をないものとして合計額を計算します(国税庁 No.2072)。 そのため、控除で赤字をつくったり、大きくしたりすることはできません。

赤字のときに気をつけること

  1. 経費にできるのは、収入を得るために必要だった費用です。必要経費は、収入を得るために直接要した費用や、その事業について生じた販売費・一般管理費などです(所得税法第37条、国税庁 No.1350)。 生活費と仕事の両方にかかわる支出(家賃・水道光熱費・通信費など)は、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合の、その区分できる金額に限られます(国税庁 No.2210)。 赤字の額を大きくする目的で、仕事に関係のない支出を経費に入れることはできません。
  2. 雑所得どうしなら、赤字と黒字は合わさります。副業が複数あって、どれも雑所得なら、収入の合計から必要経費の合計を引いて、1つの雑所得の金額を計算します(所得税法第35条第2項。公的年金等を除く)。 赤字の副業と黒字の副業があれば合わさりますが、給与など他の所得とは合わせられません。
  3. 戻る税金は、赤字の額より小さくなります。この表の範囲では、所得税と住民税を合わせても、赤字の15.1%ほどです(本業の年収500万円の場合)。 赤字は、収入より多くのお金が出ていったことを表します。
  4. 住民税が減るのは、翌年度です。所得税は確定申告のあとに還付されますが、住民税は申告の結果が翌年度(令和9年度)の計算に反映され、納める額が減ります。 住民税を納める流れは副業の確定申告のやり方のページの「住民税のこと」にあります。
  5. 事業所得と認められるかの判断は、このページではできません。一般的な説明と試算までを載せています。迷うときは、税務署や税理士に相談してください。

つぎに読むページ

計算の前提

  • 令和8年分(2026年1〜12月の収入)の所得税(復興特別所得税を含む)と、同じ所得にかかる住民税(令和9年度)の目安。住民税は標準税率(所得割10%)で、自治体によって異なることがある
  • 副業が事業所得と認められる場合の計算。事業所得の赤字(収入より経費が多い額)を給与所得から差し引く(損益通算)。青色申告特別控除は、赤字のときは使えない。雑所得の赤字は給与と損益通算できないので、数字は出していない
  • 本業は給与1か所(年末調整を受けている)。独身で、年収は給与の額面。社会保険料は年収の15%で概算し、副業の赤字では変わらないものとする。生命保険料控除・iDeCo・ふるさと納税・医療費控除・住宅ローン控除などは使っていない
  • 「戻る所得税」は、赤字を差し引いて計算し直した1年分の所得税と、給与だけで計算した所得税(年末調整で済んでいる額)の差。源泉徴収票の源泉徴収税額が、給与だけで計算した額と同じものとして計算している。所得税は0円より下がらないので、戻る額は給与から引かれた所得税が上限
  • 「減る住民税」は、給与だけの住民税(年額)と、赤字を差し引いた住民税(年額)の差。表の範囲は、住民税が非課税になる所得の範囲には入らない(均等割も所得割もかかる)
  • 青色申告の純損失の繰越控除は、計算に入っていないので、仕組みだけを書き、数字は出していない

根拠

計算ツールで、年収・家族・副業・控除などを入力すると、あなたの所得税・住民税・手取りの目安を計算できます。

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